チモシーの生育状況と生草分析の結果から、1番牧草の品質を検証しました。
生育は平年並み、断続的降雨による収穫遅れ
今年の牧草の生育および収穫期の特徴は次のとおりです。
- 萌芽期は平年より5日早く、その後も順調に生育し草丈は平年を超えたが、6月前半の低温寡照で出穂期は3日遅れの6月19日となった。
- 6月中旬からの断続的な降雨により収穫作業が停滞し、特にロール体系の収穫調製は大幅に遅れた。
- 刈り遅れによるNDF高、CP、TDN低下が予想される。
1番草の成分の傾向
- TDN(可消化養分総量)は高めの傾向。
- CP(粗蛋白質)は昨年より高い傾向。
- NDF(総繊維)は昨年より早い時期から高く、給与時に注意が必要。
図1 年度別TDNの変化
図2 年度別CPの変化
図3 年度別NDFの変化
NDF含量の多い飼料を給与すると、 その分解に時間がかかり、第一胃の通過速度が遅くなるため、物理的に乾物摂取量は制限されます。
このため、栄養摂取量も制限され、特に高泌乳牛では、代謝障害の原因になります。
NDF含量を考慮した飼料給与をするためにもサイレージ分析を実施し、栄養成分を確認することが重要です。
分析の結果、サイレージのNDF含量が高い場合は、飼料の食い込み量や乳量、乳成分等の数値の変化を確認しながら飼料設計の見直しを検討し、乾物摂取量を低下させない飼料給与を行いましょう。
また、ロールは細切して給与すると食い込み量を増やすことができます。
この情報は2022年9月に釧路農業改良普及センター本所地域(標茶町、弟子屈町、釧路町)の農業者向けに発出した情報です。