乾物摂取量を最大に

牛を健康に、高い生産性のために、乾物摂取量を高める管理をしましょう。

1快適な飼養環境

牛にストレスがかからない環境を提供しましょう。
特にベット(牛床)は重要になります。ベットにおいて重要なことは、快適性(クッション性)、ストールのデザイン(寸法)、敷料の質と量です。牛の横臥時間を長く確保していく上では非常に重要なことです。
牛は寝起きや横臥時後肢の片方が体の下になることから柔らかいクッション性の高いベットを好みます。牛床マットを敷いているから大丈夫と考えている人が多く見られますが、素材がゴム製のものが多く、10年以上経過したものでは劣化が進み硬化して、クッション性はほぼ失われています。
牛床において、狭かったり障害物が多い場合は、牛床での起立時間が長く、横臥時間が短くなる原因となります。
敷料として、麦稈、乾草、おが屑等が多くの農場で利用されていますが、使用量の多少で、横臥時間に大きな差が出てきます(表1)。敷料も乾燥し衛生的なものを一定量使用することで横臥時間を確保することに繋がります。

敷料の量と横臥時間の関係

休息時間と乳量の関係では、休息時間が増加すると乾物摂取量が増加し、乳量も増加することが試験結果として出ています(図1)。休息時間が1時間増えると乳量が約0.8p増加します。

休息時間と乳量の関係

2嗜好性の良い飼料

牛の飼料の半分以上は粗飼料のため、嗜好性の高い粗飼料生産が重要で、釧路管内においては牧草が主体となっています。
牧草は熟期が早い時期に収穫されたものほど嗜好性が高く、熟期が進むにつれて牛の嗜好性は低下していきます。出穂期を迎えるまでの生育期間が短い牧草ほど熟期の進行に比例して嗜好性の低下が見られます。牧草に比べ雑草(リードカナリーグラス等)は生育期間が短く出穂を迎えます。釧路管内の草地は牧草比率が50%以下となっています。時間はかかりますが、草地更新や追播、更新草地の植生維持による粗飼料の嗜好性改善も必要です。

3新鮮な水がいつでも飲める

乳生産の高い牛は、飼料摂取量も多く、何よりも大量の水を摂取します。新鮮な水が飲めない環境では乾物摂取量の増加はあり得ません。水槽やウォーターカップは常に衛生的な状態で、新鮮な水がいつでも飲水できるようにしましょう。

4飼槽に飼料がいつでもある

牛が採食行動を起こしたときに飼槽に採食できる飼料があることが重要です。単に給餌回数を増やすことは乾物摂取量を高めることには繋がらないとの試験結果(表2)もあります。

給与回数の違いによる変化

5最後に

酪農家にとって牛が健康で生産活動を継続することが利益に繋がります。

この情報は2022年12月に地域(釧路市、白糠町、鶴居村)の農業者向けに発出した技術情報です。

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