健康で丈夫な子牛を育てるためには、ほ乳管理だけでなく、ルーメンの発育を促すことも重要です。今回は、哺育期のルーメン発達に重要な「人工乳」や「水」、「牧草」について、その役割や給与のポイントを確認しましょう。
○人工乳の役割
人工乳は、ルーメン絨毛を発達させる役割があります(写真1)。絨毛の発達により、子牛は穀物・牧草による栄養摂取ができるようになります。
写真1 人工乳給与による絨毛発達の違い(ペンシルベニア大学HP http://www.das.psu.edux.htmlより引用)
○人工乳給与のポイント
①人工乳の給与開始時期
普及センターが、弟子屈町、標茶町の農家21戸を対象にアンケート調査を行ったところ、人工乳の給与開始時期は、農家によってばらつきがある事が分かりました(図1)。
図1 人工乳給与の開始時期
人工乳は、早く覚えさせることで、その後の人工乳の食いこみが上がります(表1)。生後2日目から給与開始しましょう。
表1 出生後2日目からの人工乳給与の有無とその後の人工乳摂取量(北海道立畜産試験場2002年)
水の役割と給与のポイント
①水の役割
水は、子牛の水分要求量を満たすだけでなく、ルーメン内で微生物発酵を促す役割もあります。また、水を給与することで、人工乳の採食量が増加します(表2)。
表2 飲水が人工乳の採食量へ与える影響(1週当たりの採食量:kg)Kertz.1984
②水給与のポイント
生後2日目から飲用水の給与を開始しましょう。0~2ヶ月齢の子牛では、約5~8ℓの水分が必要となります。清潔な水がいつでも好きなだけ飲める環境が大切です。また、寒い冬場は、45℃程度のぬるま湯を与えましょう。
○牧草の役割と給与のポイント
牧草は、ルーメン内の胃壁に物理刺激を与え、ルーメン容積を増加させる役割があります。給与量はひとつかみ(50g)程度で、柔らかい乾草を給与しましょう。
○強い子牛を目指して
様々な経費が値上がりする昨今、健康な子牛は診療費の削減に、発育の良い子牛は個体販売価格の増加につながります。また、丈夫な子牛は将来、乳生産性の高い親牛になります。哺育期の栄養管理を見直し、強い子牛作りを目指しましょう。
この情報は2022年地域(標茶町、弟子屈町)の農業者向けに発出した技術情報です。