育成牛の基本的な飼養管理について
育成牛の良好な発育は、初産牛の生乳生産性向上に繋がります。また、初産分娩月齢の短縮は育成管理コストの低減にも繋がります。育成牛の飼養管理の基本について確認してみましょう。
1.離乳後から9ヶ月齢までの管理
子牛は9ヶ月齢までが、最も栄養効率が良く、乳腺の発達が活性化する期間です。また骨の成長が進み、体高の増加量が多い時期でもあります。そのため必要な蛋白質とエネルギーを高めることが大切です。
また、この時期に太らせ過ぎると乳腺細胞に脂肪が入り込み、乳腺の発達が阻害され、生乳生産性が低下する恐れがあるため注意しましょう。
2.9ヶ月齢から12ヶ月齢までの管理
この時期は発育の良い牛では、発情兆候が見られます。発情兆候が見られない場合は、蛋白質不足による体高の増加量の低下、卵巣や子宮の発達不全が考えられます。また、体重の増加量の低下や被毛のボサボサが見られる場合はエネルギー不足が疑われます。
月齢や体格毎に群を分け、食い負けする牛をつくらないような飼養管理の実施が重要になります。
3.13ヶ月齢から15ヶ月齢までの管理(授精)
初産牛は摂取した栄養を体の成長と乳生産などにも分配します。体格の小さい初産牛では、体の成長に使う栄養が多くなるため、乳量が低下します。
初回授精の開始は、月齢よりも体高、体重を重視し、目標とする種付け時期までに体格をしっかり作りましょう(表1)。
種付け | 分娩時 | |
---|---|---|
月齢 | 14ヶ月齢 | 24ヶ月齢 |
体重 | 390㎏~450㎏ | 550㎏~625㎏ |
体高 | 129㎝~135㎝ | 142㎝~149㎝ |
BCS | 3.5 | 3.5 |
4.15ヶ月齢から24ヶ月齢までの管理(妊娠、分娩)
この時期に太りすぎ、痩せすぎにならないように適度な体脂肪を蓄積させることが大切です。妊娠初・中期に低栄養が続き後期に高栄養な状態になると難産の原因となるため注意が必要です。
5.飼料給与量の目安
日本飼養標準に基づいて、月齢、体重毎の1日あたり飼料給与量を計算しました(表2)。
牛舎や給与する飼料など飼養環境により異なりますが、管理の目安としてください。
体重(㎏) | 月齢 | 日増体量(㎏/日) | 2番ロール(㎏/日) | 配合飼料(㎏/日) |
---|---|---|---|---|
100 | 3 | 0.9 | 2.8 | 1.5 |
200 | 6 | 0.8 | 4.3 | 2.2 |
350 | 13 | 0.7 | 9.0 | 2.0 |
450 | 18 | 0.75 | 11.2 | 2.0 |
600 | 23 | 0.78 | 15.0 | 2.0 |
6.育成牛の発育を確認してみませんか?
育成牛の体高や体重は体高計と体重推定尺を用いて測定することができ、発育成長曲線(図1)と照らし合わせて、育成牛の発育を確認することができます。