農場環境の改善を考えよう

1_農作業事故は大きな損失

 釧路管内において、農作業による負傷件数は、平成26年から令和3年まで1,649件起きています。毎年200人前後がケガをしていることとなります。また、このうち釧路市・白糠町・鶴居村では管内の約30%の498件ありました(図1)。

図1農作業事故(負傷)

 この要因の約6割は、牛による負傷ですが、次に人の転倒による負傷も起きています。農作業事故は、経営的にも大きな損失に繋がります。

 ここでは、農作業事故防止を含め、農場内での無駄を削減し、効率よく働くことができる環境を目指して5S活動を取り上げてみます。

2_5S活動の取り組み

 5S活動とは、整理、整頓、清掃、清潔、習慣の5項目の頭文字である「S」をとった農場環境改善活動です。

○整理

 不要な物を捨てる。農場にある必要な資材などの在庫管理につながります。在庫があったにもかかわらず購入してしまうなどの重複を防ぐことができます。

○整頓

 必要な物は、保管場所を決めておきます。農場では、置き方にも安全が求められます。単に置き場所を決めたといって床面に置いてしまい、整頓したつもりでもつまずいて、転倒してしまっては、整頓したことになりません。必要な用具が誰でも手に取って、効率よく次の作業ができるようにしておきましょう(写真1)。

写真1 整頓されている哺育コーナー例

写真1 整頓されている哺育コーナー例

 保管場所には、その用具名や形状が分かる写真やイラストを掲示して一目で、すぐに取り出すことができる工夫もしてみましょう。

 例えば捜し物にかかる時間を労賃に換算し試算してみます。1人当たり毎日5分程度捜し物をしている農場を仮定するとその損失は年間に約2万8千円になります(図2)。この金額は目に見えませんが、時間を無駄にすることは経営上の損失になることが分かります。安全で、効率の良い農場はより生産性も高められます。

図2 捜し物による損失の試算

○清掃

 清掃をすることで見た目にきれいになることと併せて、農場内にある問題点の発見や危険箇所などにも気がつき、改善の機会にもなります。

○清潔

 清掃後、常に清潔な状態を心がけることにより、安全な作業環境の維持にもつながります。清潔な状態とはどのような状況か写真で見本を掲示することも一つの方法です。

○習慣

 農場がきれいな環境で安全に維持できるよう従事者で話し合いルールをつくり、継続することが大切です。これは、作業上での無駄の削減やコミュニケーションの活性化とチームワークの向上にもなります。

 安全で安心して働くことができる農場環境の改善に取り組んでみませんか。

(この情報は2023年5月に釧路市、白糠町および鶴居村の農業者向けに発信した技術情報です)

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