牛の飲水と暑熱対策について

牛の飲水と暑熱対策について

 乳牛の体重の56~81%は水が占めています。水分は糞尿への排せつ、発汗や泌乳によって体内から出て行くため、乳牛の体の維持や生産のためには失われた水分を補う必要があります。また、乳牛は育種改良により乳量が向上しているため、水分要求量は哺乳類の中でも多くなっており、夏場は特に飲水量を確保してあげる必要があります。

(1)飲水量と気温の関係

 泌乳牛は1日当たり平均で75~180L、およそ乳量の3倍の水を飲みます。飲水量は泌乳ステージ、環境条件、飼料の摂取内容によって変化します。産乳量によって幅はありますが、最低気温が上がると飲水量が増加します(図1)。
 哺乳牛の飲水量は、育成牛と比べ、気温による変動が大きいです(表1)。スタータの採食量を高めるためにも水が必要ですので、バケツなどで常時飲めるようにしましょう(写真1)。ミルク以外の水分を与えることでスムーズな離乳にもつながります。

図 1 産乳量と気温による飲水量の違い

図 1 産乳量と気温による飲水量の違い(日本飼養標準・乳牛(2017年版)より作図)

表1 気温と飲水量の関係

表1 気温と飲水量の関係

写真 1 哺乳牛にも水を

写真 1 哺乳牛にも水を

(2)牛が飲みやすい環境

・牛は匂いに敏感です。ウォーターカップや水槽の定期的な洗浄は飲水量を高め、乾物摂取量の向上につながります(写真2)。

・乳牛は1日に10~15回に分けて水を飲み、特に飲むのが搾乳後と採食後です。牛の健康のためには牛がいつでも飲める環境が必要です。夏場はパドックやフリーストール牛舎通路外側に臨時水槽を増設するのも効果的です。

・水槽・ウォーターカップの吐水量の目安は4~6ℓ/20秒です。

写真 2 水槽洗浄の前後

写真 2 水槽洗浄の前後

(3)暑熱対策のポイント

 7月から8月にかけて気温が上がっていきます。飲水以外のポイントも押さえて、牛の暑熱ストレスを最小限にとどめましょう(表2)。

表2 暑熱対策のポイント

表2 暑熱対策のポイント

この情報は2023年7月に地域(厚岸町、浜中町)の農業者向けに発出した技術情報です。

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