電気代を節約しつつ酪農技術を向上させるために

 酪農経営は電力依存度が高いので、電気料金の値上げは大きく響いていると思います。
 今回、電力消費量を抑えつつも酪農技術を向上させる提案を記します。

一 電力使用量の大きい機器

 酪農家の1日あたり消費電力割合は「換気扇(送風機を含む)」が平均41%「バルククーラー」が20%と長時間使用する機械の割合が高いです(表1)。一方で真空ポンプ等の搾乳機器は15%ですが、時間あたりの消費電力は多くなっています。
 ただし、牧場によってはふん尿処理や飼料調製、冬場の暖房に電力消費量の高い機械を使用している場合もあるので、自分の牧場の電気機器について、確かめてみてください。

表1 消費電力の構成比(石川ら2014 農業施設誌)

消費電力の構成比

二 換気扇の運転を抑制するために

 換気扇には牛舎内のアンモニアや二酸化炭素、湿気を含んだ空気などを換気する役目があります。そのため強制換気を前提として設計された牛舎、自然換気が不十分な牛舎では運転を停止させるわけにはいきません。
 その一方で「電気以外の暑熱対策」を実施することで、状況を見ながら運転を抑制することが可能となります。
 これには環境対策と代謝対策がありますが(表2)、西日を遮る対策(写真1)とウォーターカップや水槽の清掃(写真2)は手軽にできるのでおすすめです。

表2電気以外の暑熱対策

電気以外の暑熱対策

ウォーターカップの清掃

写真1ウォーターカップの清掃

遮光ネットによる西日対策

写真2遮光ネットによる西日対策

三 搾乳時間の短縮を

 搾乳時間を短くすることで真空ポンプの稼働時間を短縮することができます。
 そこでネックになるのは「搾りきりの悪さ」です。その改善には「搾乳刺激のかけ方」と「ユニット装着のタイミング」がポイントです。
 刺激への感受性は個体差がありますが、渋い牛には「しっかりとした前搾り」が重要です。乳頭の付け根をしっかり握り1乳頭につき4回搾ることが推奨されています。
 一方ユニット装着は、乳が降りてきて乳頭が張ってくるタイミングがベストです。これも個体差がありますが、最初の搾乳刺激から60秒~90秒と言われています。
 多くの工程に追われる搾乳作業ですが、この2つのポイントだけでも意識してみることをおすすめします。

推奨される搾乳手順

図1推奨される搾乳手順

四 最後に

 他にも、バルククーラー冷却器周辺のホコリ除去や整理整頓、換気扇や照明の清掃など、すぐに出来る方法があります。少しでも実践し経営改善につなげていきましょう。

この記事は、釧路中西部支所が釧路市、鶴居村、白糠町の酪農家向けに作成したものです。

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