子牛の飼養環境改善

子牛の飼養環境改善

 生乳生産向上のためには、子牛の時に病気させず、健康的に飼うことが必要です。子牛が病気をすると、治療などの手間がかかるだけでなく、その後の発育にも影響します。健康的に飼うには、十分な栄養を与えることや環境ストレスを減らすことが大切です。今回は、既存のほ育牛舎の飼養環境を改善した例を紹介します。

(1)子牛の飼養環境

 ほ育期の病気を防ぐためには、周りから病気をもらわないこと、体を冷やさないことが大切です。牛同士が舐め合える環境は子牛が病気に感染する原因となります。牛の入れ替え時など、使ったハッチやペンは除糞・洗浄し、乾燥させてから石灰塗布などの消毒を行い、次の牛に病気を移さないようにします。糞などの有機物や水分が残っていると細菌の増殖につながります。乾燥した敷料をたくさん入れることや、隙間風を直接子牛に当てないようにすることで体を冷やさないようにします。
 今回、改善を行ったほ育牛舎では、柵で飼養スペースを区切っていたため、隣の牛との舐め合いが発生していました(写真1)。また、窓がなく、風の抜ける先がなかったため換気が悪い状態でした。

改善前の飼養環境

写真1 改善前の飼養環境

(2)舐めさせない・洗いやすい・寒くない

 大きく分けて2つの改造を行いました。1つ目は柵の側面に板を設置しました(写真2)。牛同士の舐め合いと冬季に子牛に直接当たる風を防ぐのが目的です。併せて、保温のためにクロスシートを屋根代わりに設置しました。2つ目として、牛舎奥側の壁を撤去し、新たに巻き上げ式のカーテンを設置しました。
 改善後の良かった点として、平らな板を取り付けたことで、柵よりも洗いやすくなったため、子牛の下痢が減りました。また、カーテンを取り付けたことで換気が良くなり、牛舎内のよどみが減りました。しかし、冬季にカーテン下側の隙間からの風の吹き込みが強かったため、取り外しが可能なシートを設置しました(写真3)。

柵の側面に板を取り付け

写真2 柵の側面に板を取り付け

カーテン下側を塞ぐシート

写真3 カーテン下を塞ぐシート

(3)毎日の観察

 子牛は、朝元気でも夕方には体調を崩していることがあります。早期発見のために朝・昼・夕の3回チェックすることが理想です。ほ乳時に近寄ってこない、耳がたれているなどいつもと違う様子はないか、下痢や咳をしている子牛がいないか観察しましょう。

この情報は、2024年3月に厚岸郡(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出したものです。

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