2023年の夏を振り返る(暑熱対策その1)
2023年の夏は暑く、牛も人も辛い年でした。冷涼な気候と言われている釧路東部地域も温暖化の影響を受けており、30年前と比べると5月1日から10月31日の積算気温は800℃ほど増加しています(図1)。直近10年間の傾向も同様で、長期的に見ても気温が上昇しており、毎年の暑熱対策の必要性が高くなってきています。今回は2023年の気象を振り返るとともに、暑熱と生乳生産の関係を考えます。
図1_積算気温の推移
(1)2023年の気象
乳牛は20℃を超えると暑熱によるストレスを受け、その影響は気温が下がっても続きます。昨年は最高気温が7月上旬から25℃を超え、8月には30℃を超えるという釧路管内としては珍しく、暑い年でした(図2)。真夏日(日最高気温が30℃以上の日)となった日数をみても2023年は暑い日が多かったことがわかります(図3)。
図2_2023年の気温の推移
図3_真夏日となった日数
(2)暑熱と乳量・乳成分の関係
乳牛は育種改良によって乳生産量が増加し、それに伴う体内での熱生産量も増えましたが、体から熱を逃がす効率は悪く、暑熱ストレスを受けやすいです。暑熱ストレスを受けると、採食量や乳量の減少、呼吸数や飲水量の増加が見られます。図4~図6は3カ年の平均管理乳量と乳成分の推移ですが、気温の上がる7月から9月にかけて落ち込みが見られ、気温の下がり始める9月以降に回復し始めます。
暑熱ストレスを最小限にとどめて、今年の夏を乗り切るためにも早めの対策を心がけましょう。
図4_平均管理乳量の推移
図5_乳脂率の推移
図6_無脂固形分率の推移
この情報は2024年5月に地域(浜中町)の農業者向けに発出した技術情報です。