夏場の飼養管理について(暑熱対策その3)

夏場の飼養管理について(暑熱対策その3)

(1)飲水

 水分は糞尿への排せつ、発汗や泌乳によって体内から出て行きます。気温が上がるとさらに飲水量も増えるので、十分な量の水を与えることも暑熱対策の一つです。
 泌乳牛は1日当たり平均で75~180L、およそ乳量の3倍の水を飲みます。飲水量は泌乳ステージや環境条件により異なりますが、最低気温が上がると飲水量が増加します(図1)。

図 1 産乳量と気温による飲水量の違い

図 1 産乳量と気温による飲水量の違い

 ほ育牛の飲水量は、育成牛と比べ、気温による変動が大きいです(表1)。スタータの採食量を高めるためにも水が必要ですので、バケツなどで常時飲めるようにしましょう。
 新鮮な水がいつでも飲めるように、水槽の掃除、必要に応じて水槽の増設、配管口径の拡大を行いましょう。

表 1 気温と飲水量の関係

表 1 気温と飲水量の関係

(2)飼料給与

暑熱ストレスの影響は、泌乳量の減少や受胎率の低下など様々ですが、採食量の低下をなるべく抑えることが夏場の飼養管理では重要となります。

①給与時の留意点

 牛は臭いに敏感です。夏場は残飼が変敗しやすいので、飼槽を定期的に掃除し、新鮮な飼料を給与しましょう。また、牛は涼しい時間帯に採食します。夜間にも採食できるよう給飼量や回数、掃き寄せするタイミングを調整しましょう。
 繊維含量の多い粗飼料は第一胃内での発熱量が高いため、夏場に給与すると採食量の低下につながります。消化の良いものを給与し、乾物摂取量を確保しましょう。

②ミネラル補給

 高温時には、発汗によりカリウムやナトリウムが普段よりも多く排泄されます。失われたミネラル分を補給するため、塩を給与しましょう。夏場は採食量の低下や反芻の減少、固め食いによりルーメンアシドーシスが起こりやすいです。第一胃のpHを上げるために重曹を給与しましょう(目安:1頭当たり100~200g)。

③サイレージの二次発酵対策

 サイレージの二次発酵の原因は空気です。開封後、スタック・バンカーサイロの奥まで空気が侵入しないようにしましょう(図2)。また、取り出し面が長い間空気に触れる場合も二次発酵しやすいです。夏場用として間口の小さいスタック・バンカーサイロにすることで、1日の取り出す幅を多くし、取り出し面が毎回新しくなるようにすることも有効です。

図 2 サイレージ取り出し時のポイント

図 2 サイレージ取り出し時のポイント

今年は3回に渡って暑熱対策について紹介しましたが、釧路東部地域も夏の暑い年が増えています。今年も換気や飼養管理などの暑熱対策を意識し、暑い夏を乗り切りましょう。

この情報は2024年8月に地域(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出した技術情報です。

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