畜産農場のサルモネラ対策(2024年)

畜産農場のサルモネラ対策

1. サルモネラによる損失

 当地域で発生が確認されている牛サルモネラ症は、発生すると、消毒経費や作業人員など環境改善に要する負担・治療費・検査料・自主淘汰・生乳の廃棄等の損失に加え、畜主や農場で働く人たちの精神的ストレスも計り知れません。

2.サルモネラの侵入経路

 サルモネラは、経口感染により牛の体内に入ると、増殖、排菌して感染が拡大していきます(図1)。主な症状は、食欲不振、発熱、下痢等が挙げられます。明らかな症状を示さない場合、知らない間に拡散している恐れもあります。

図1

図1 サルモネラ症の侵入経路

3.農場への侵入を防止

 農場への出入りでは、①人間は踏み込み消毒槽を通る、②車両は石灰帯を通る、③野生動物は侵入させない、④導入牛は、隔離場所を経て牛群に入る、により病原体の侵入を防止します。

 これらの対策はサルモネラだけでなく様々な感染症予防にも通じるため、徹底した防止策を講じましょう。

① 踏み込み消毒槽
薬剤の希釈倍率を守りましょう。有機物により効果が落ちるため、靴の汚れを落としてから使用し、汚れた際は速やかに交換しましょう。外来者専用の作業服や長靴を用意することも有効です。

踏み込み消毒槽

写真1 水道横に設置された洗い場と踏み込み消毒槽

② 石灰帯
大型車両のタイヤが一周するように幅3m、長さ4m以上にムラ無く白くなるよう散布しましょう。

③ 野生動物の侵入
牛舎の開口部は、必ずネット等による野生動物の侵入防止策を講じます。ネットの裾は、チェーン等の重石によりめくれない工夫が必要です。また、敷地内の除草や不要物の撤去などにより、隠れる場所をなくすことも有効です。

④ 導入牛
3週間程度の別飼いによる健康観察が望まれます。難しい場合は、つなぎ牛舎で既存牛との間を1頭空けて繋留する、独房や一部を区切ったパドックで管理するなどの方法はいかがでしょうか。

4.農場内における拡散の防止

 拡散源となるリスクが高いのは、長靴や機械のタイヤ、水たまりの出来る場所、分娩場所などです。これらの高リスクポイントから、牛の口元(飼槽・水槽など)まで病原体を運ばないことが重要です。機械や人の動線、消毒ポイントの位置、雨水の流れなどを確認しましょう。

カーフウォーマー

写真2 新生子牛が触る資材(カーフウォーマー・子牛の運搬機等)や分娩場所も清潔に

 農場内で放し飼いされているペットが運ぶリスクもあります。

5.牛の抵抗力を下げない

 特に弱いのが、乾乳後期牛、産褥牛、新生子牛、高泌乳牛、ほ育牛、移動直後の牛などです。これらの牛のストレスを軽減させる環境・栄養管理を徹底しましょう。飼養環境、飼料給与などについては、是非ご相談ください。

これは2024年8月に標茶町・釧路町・弟子屈町の農業者向けに発出した技術情報です。

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