乳脂率を向上させるために

乳成分の価値比率変更に伴い、乳脂率を向上させたいと考えている方が多いと思います。乳脂率について改めて考えてみましょう。

1乳脂肪の供給源

乳脂肪には大きく分けて、3つの供給源があります(括弧内は乳脂肪中の比率)。

①ルーメン発酵の結果できる酢酸や酪酸(50%)
②乳牛自身の体脂肪(40%)
③エサに含まれる脂肪分(10%)

乳牛の健康を保ちながら、乳脂率を向上させるには、最も比率の高い①の酢酸と酪酸の供給を確保することが重要となります。

2乳脂率低下の要因と対策

酢酸や酪酸の生成量が低下する要因は、ルーメン内のpHが低下してしまうことです。ルーメンpHを安定させるには、適切な給与飼料と、その飼料を選び食いや固め食いさせずに、摂取させることが対策になります。具体的には以下のとおりです。

(1)給与飼料からの対策

・粗飼料割合およびデンプン濃度を見直す
・不飽和脂肪酸の多い飼料(大豆やとうもろこし)の給与量を見直す

(2)選び食い・固め食いの対策

・TMRの水分が低い場合、加水する
・切断長の長い粗飼料を給与しない
・可能であれば給与回数を増やす
・エサ押しをもう一回でも増やす

TMRミキサーに加水している写真

加水量はTMR重量の約10%を目安に始め、選び食いが無くなるまで調整する

エサ寄せの写真

飼槽壁から30~60cmに寄せると食べやすい

この情報は2024年11月に中西部支所地域(釧路市音別、白糠町、鶴居村)の農業者向けに発出した技術情報です。

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