「良いサイレージ」の条件は複数ありますが、近年発酵品質やカビの発生についても多くの悩みが聞かれます。図1は標茶町農協、摩周湖農協管内のサイレージの発酵品質を表すpHの状況です。
目標の4.2以下は約6割が達成しています。
図1 1番草サイレージpHの分析点数に占める割合
収穫作業をコントラクタに委託している農場も、農場で準備すべきことや各作業のポイントをこの時期から確認し、地域全体で良質粗飼料の確保を目指しましょう。
①異物混入防止(農業者が実施)
秋に堆肥を散布した草地では、早春にパスチャーハローを掛けることで堆肥の塊を砕き、サイレージへの混入を防ぐことができます。
②牧草の刈取り高さ(作業者が実施)
牧草の刈取り高さは、地際より10cmが目安です。目的は、土砂や散布した糞尿の混入を防ぎ、チモシーの再生を良好にして植生を維持するためです。
③サイロと周辺の整備(農業者が実施)
バンカーサイロの清掃や消毒と周辺の整備により、不良発酵の原因となる酪酸菌や異物の混入を防止できます(写真1)。
スタックサイロでも、残ったサイレージを取り除き新しく火山灰(黒ボク含)等を敷いて受入準備を整えましょう。
また、「夏用に低いサイロが欲しい」・「もっと鎮圧をして欲しい」という場合には、サイロ同士や周辺の施設との間に十分な広さが必要です。
写真1 バンカーサイロの洗浄
④調製の注意点(作業者・農業者が実施)
原料草を薄く(20~30cm以下)伸ばしてトラクタやタイヤショベルによる鎮圧が重要となります。
鎮圧しやすいように、原料草の生育ステージや水分に合わせた切断長の調整を行いましょう。
また、ギ酸を使う場合には、pHが4以下になっていることを確認しながら進めましょう。
写真2 農業者とコントラオペレーターによる2台同時鎮圧の様子
⑤貯蔵時の注意点(作業者・農業者が実施)
鎮圧終了後は早期に密封し、穴の修繕は確実に行いましょう。シートの種類や枚数を工夫することで、害獣対策やサイレージ表面の変敗を防ぐことにつながりますが、まずはできるだけシートが密着した状態で貯蔵しましょう。
写真3 スタックサイロのシート上に隙間なく載せられた土
この情報は2025年2月に地域(標茶町 弟子屈町 釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。