和牛子牛の管理について~初乳給与編~

はじめに

近年、釧路管内では、和牛子牛の初生市場出荷頭数が年々増加しています。
酪農家の皆様の中には、「増体が今ひとつで満足いく値段がつかなかった」「せっかく高価な受精卵をつけたのに、生まれた子牛を死なせてしまった」といったことはありませんか?

釧路大楽毛初生市場和牛子牛出場頭数

そこで、今回は和牛子牛を健康に育てる上で重要となる初乳について考えてみました。

初乳の重要性

①栄養の付与
初乳は通常の乳汁と比べて、乳脂肪、乳タンパク質、ビタミンA・E、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれており、出生直後の子牛にとって重要な栄養源となる。

②免疫グロブリンの付与
初乳には免疫グロブリン(以下IgG)が含まれ、出生直後の子牛が免疫を獲得するためには初乳を摂取することが重要となる。

黒毛和種とホルスタイン種の初乳成分の違い

ホルスタイン種の初乳は、和牛子牛に給与する上で、初乳中のIgG量が少ないですが、初乳と初乳製剤を混和することでIgG量を確保することが可能です。
※初乳製剤は規定量のお湯に溶かしてから初乳と混和してください。

初乳給与のタイミング

子牛の免疫グロブリンの吸収率は時間経過とともに低下してしまいます。
出生後6時間以内がもっとも吸収率が高く(50~60%)、12時間を経過すると半減(30%)してしまいます。
6時間経過しても、自発的にほ乳しない場合は、ストマックチューブなどを活用し強制投与しましょう。

ストマックチューブ(商品名:ミルクチューブ)

初乳の適切な給与量

子牛の体重の10%程度が目安です(体重が30kg程度の子牛の場合は約3L程度)。
ホルスタイン種の初乳を用いる場合は、初乳の糖度(BriX値)を糖度計で測定し、BriX値22%(IgG 約50g)以上の初乳を与えるようにしましょう。

糖度計

さいごに

和牛子牛はホルスタイン子牛より弱く、疾病の早期発見、早期治療が大切になります。
よく観察し、健康な和牛子牛を育てましょう。

この情報は2025年2月に中西部支所地域(釧路市音別、白糠町、鶴居村)の農業者向けに発出した技術情報です。

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