農業での死亡事故発生数は、建設業などの他産業と比べても多い状況にあります(図1)。
道内における農作業での負傷事故は年間2,200件前後、死亡事故は10件ほど発生しています。農作業事故を防ぐためには、作業者自身が意識することが必要です。人ごとと捉えず、農作業事故防止を心がけましょう。
図1 就業者10万人当たり死亡事故発生者数の推移(農林水産省)
(1)釧路管内での農作業事故
振興局別の発生状況では、宗谷、釧路、根室など畜産地帯での事故が多くなっています(図2)。
令和5年度に釧路管内で発生した死亡事故はありませんでしたが、161件の負傷事故が発生しています。事故の内訳としては、牛によるものが58%、他の原因として農業機械や転倒による事故が多い状況です(図3)。「踏まれる、蹴られる、挟まれる」などの牛との接触による負傷事故に気をつけましょう。
図2 農業従事者1,000人当たりの負傷事故件数
図 3 原因別の農作業事故発生割合(H26年~R5年の平均 釧路管内)
(2)畜産現場での日常的な事故対策
①危険を取り除く
・段差や突起物など牛舎施設内の危険箇所をなくす。
・滑りやすい、暗い、狭い箇所などの改善を行う。
・5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の励行。
②安全な行動を心がける
・牛の死角から近づかない、近づくときは声をかけるなど自分の存在を知らせる。
・牛を力づくで動かさない。
・牛が急に動いた時に避けられるよう、逃げ場がない場所に立たない。
③作業者の情報共有
・畜産業は、一人で作業する場面も多いため、時間帯や場所によっては事故が発生しても発見できないことがあります。事前に予定を家族に伝える、複数人で作業を行うなど、もしもの時に助けを呼べる状態にしましょう。
この情報は2025年3月に地域(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出した技術情報です。