スラリー散布によるサイレージ品質への影響

草地にスラリー散布したことによるサイレージの発酵品質への影響を気にしている方はいませんか?普及センターの活動で、早春にスラリーを散布した場合、サイレージの発酵品質に問題がないのか試験を実施しました。

使用したスラリーの品質

同一の草地にスラリーの散布量を10a当たり0t、2t、4tに分けて、試験圃を設置しました。試験で使用したスラリーは乾物率4.5%とそれほどドロッとしていないですが、散布46日後に収穫した牧草を水洗いした結果、散布量が多くなるほど、付着量が多いことがわかりました(写真1)。

これ以上に乾物率が高いスラリー(目安として乾物率10%くらい)は、さらに牧草に付着しやすく、サイレージの発酵品質低下につながる恐れがあります。

スラリーの付着度合いを確認するために収穫した牧草を水洗いした写真

写真1, スラリーの付着度合い(収穫した牧草を水洗いした)

収穫した牧草の収量とサイレージ品

スラリーを散布して46日後に収穫した場合、2t区、4t区では収量に大きな差はありませんでした(図1)。一方で散布量が多いとサイレージの発酵品質が低下しました(図2)。

10aあたり0t、2t、4tとスラリーを散布した後に収穫した1番草と2番草の乾物収量のグラフ

図1, 乾物収量

10aあたり0t、2t、4tでスラリーを散布し収穫した1番草の0tを100とした場合の乳酸と酢酸、酪酸、アンモニア態窒素を比較したグラフ

図2, サイレージ発酵品質

良質なサイレージをつくるために、スラリーの散布は適正な量(早春の散布量は2t/10a程度を目安に)と収穫までの期間を確保することが重要です。

この情報は2025年5月に地域(釧路市、鶴居村)の農業者向けに発出した技術情報です。

カテゴリー

釧路農業改良普及センターのカテゴリ

cc-by

page top