放牧地・放牧牛の放牧準備について
放牧に出す時期は、草丈が10㎝程度(長靴の甲が草に隠れる前)伸びた頃が目安です。スムーズに放牧が始められるよう、準備を始めましょう。
〇設備の準備
①牧柵の整備
牧区のポール強度を確認し、ぐらつきや破損があれば、再度打ち込みや補修を行い、ポリワイヤーを張りましょう。有刺鉄線の場合、破損箇所があれば修理が必要です。
電牧器の接続チェックを行い、通電を確認することも必要です。また、漏電による牛の脱柵を防ぐため、牧柵周辺の草刈りやゴミ拾いを行いましょう。
②飲水場所の整備
牛の乾物摂取量を確保するためには、牛がいつでも、どこにいても、水が飲める環境が必要です。必要な水槽幅は8㎝/頭であり、経産牛50頭数に対して、2m の水槽であれば2台必要です。また、牧区が複数ある場合、水槽は隣接する牧区の境界に設置し、両牧区から水が飲めるようにしましょう。頭数に対して十分な飲水量を確保するために、市販の水槽を設置する他に、ギ酸タンク等で代用することもできます(写真1)。
水槽の状態を確認し、故障があれば放牧前に修理を行うと共に、放牧期間中はこまめに水槽掃除を行い、清潔に保ちましょう。
写真1 ギ酸タンクの水槽
③牛道の整備
牛道は、施肥や掃除刈りの際に機械が通れるよう、5m程度の幅を確保しましょう。
泥濘化した場所は、牛体の汚れや乳房炎の発生に繋がります。また、小石などで凸凹した牛道での移動は、肢蹄を痛めてしまいます。火山灰や砂等で牛道の表面をカマボコ型に盛り上げ、両側に溝を掘ることで、排水性を高め、ぬかるみを防止しましょう(写真2)。
写真2 整備された牛道
④日陰の準備
暑熱期に備え、木陰のある牧区の活用や遮光ネット、遮熱シートを用いて放牧地に簡易的な日陰を作るなど、牛が暑さをしのげる場所を確保しましょう(写真3)。
写真3 木陰で休息する様子
〇牛の準備
初めて牛を舎外に出す場合、少頭数だけ出すと、環境が異なる不安から、無理に牛舎に戻ろうとします。牛舎通路を境に片側半分ずつ外に出すなど、ある程度まとまった頭数で管理し、最初は放牧地まで追うなど、徐々に慣らしましょう。
詳しくは、普及センターへご相談ください。
この情報は2025年5月に地域(弟子屈町、標茶町および釧路町)農業者向けに発出した技術情報です。