今年も牧草収穫時期が近づいてきました。作業前にポイントを確認しましょう。
(1)収穫時期
発酵品質が良く、栄養価のあるサイレージを生産するためには、適期である出穂始めから出穂期に収穫することが重要です。出穂期以降は、繊維成分が増え、消化率が下がります。極力刈り遅れは避けましょう。令和6年度、釧路東部地区の出穂期は6月19日でした。収量と栄養成分を考え、収穫時期を計画しましょう。
(2)サイロ周辺の整備
不良発酵を防ぐためには、収穫時に異物を入れないようにすることが大切です。バンカーサイロ周辺を整備し、土砂の混入を防ぎましょう。また、スタックサイロ周辺は、早めに整地し、日干しできる期間を設けましょう。
(3)収穫時の刈取高
草地は軟らかく、凹凸があるため、設定値よりも刈取高が低くなりやすいです。不良発酵の原因となる土砂を入れないためにも高く刈ることを意識しましょう。
チモシーは1番草収穫時期に、既に2番草の芽が成長し始めています(図1)。刈取高が低いと1番草と一緒に新分げつも刈り取ってしまうため、2番草での茎数減少や、雑草が侵入する原因になります。土砂混入だけでなく、チモシーの再生のためにも刈取高は10㎝以上にしましょう。
図1 1番草収穫直後のチモシー
(4)二次発酵対策
サイレージの二次発酵の原因は空気です。開封後、スタック・バンカーサイロの奥まで空気が侵入しないようにしましょう。空気が入らないようにする対策は図2のとおりです。また、1日1回新しい断面となるようなサイロの大きさにすることも有効です。1日に取り出す長さは、夏場は1日30㎝以上、冬場は1日15㎝以上が目安となっています。
図2 サイレージ取り出し時のポイント
(5)農作業安全
春作業など本格的に畑仕事の始まる時期になりました。収穫の際は、作業機による巻き込みや、高所からの落下が起きないよう事前に危険箇所などは取り除き、十分に注意して作業しましょう。公道走行時は、後続車両に注意しましょう。
この情報は2025年5月に地域(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出した技術情報です。