暑熱期を乗り切る飼料給与面の対策

暑熱期を乗り切る飼料給与面の対策

もうすぐ暑い季節がやってきます。乳牛は暑さが苦手ですが、無事に夏を乗り切るために飼料給与方法に係る対策を紹介します。

1 暑熱ストレスの影響に伴う乳牛の変化

搾乳牛は気温が約20℃を超えてから暑熱ストレスの影響を受けやすく、気温の上昇により乾物摂取量が低下します。生産乳量は、採食量の低下や維持エネルギーの増加によって減少します(図1)。
この他にも飲水量が増加する一方、低下するものとして休息時間、乳成分、繁殖成績などが挙げられます。
また、乾乳牛も暑熱ストレスにより採食量が低下し、早産(出生子牛の体重低下)や分娩後の生乳生産量の低下など影響を及ぼすことがあります。

図1 気温の上昇による乳量と乾物摂取量の変化

CPM Dairyにて計算。成熟体重670kg、湿度65%、最低気温は平均気温から△10℃とした。

図1 気温の上昇による乳量と乾物摂取量の変化

2 飼料給与面からの暑熱対策

暑熱による生産性の低下を最小限にするためのポイントを下記の通りまとめました。
(1)少ない量でもエネルギーの補給を
  ● 貯蔵している自給飼料のうち、発酵品質が良く消化率の高い粗飼料を利用する
  ● 消化率が良い糖蜜やビートパルプの給与量を増やし、嗜好性を高めて採食量を増やす
(2)飼槽管理にひと手間を
  ● 気温の高い日中は採食量が上がらないため、涼しくなる夕方(夜)の給与量を増やす
  ● 採食量向上のため、新しい飼料を給与する前に残飼掃除を行い、エサ寄せ回数を増やす
(3)水とミネラルはいつも以上に給与を
  ● 飲水量が増加するため、水槽をきれいにすることや水圧の確認を
  ● 発汗量の増加に伴ってミネラル分が不足するため、塩分(固形塩など)の補給を
  ● ルーメンアシドーシス予防のために重曹の給与を(重曹入り固形塩も有効)

粗飼料の取り出し面をキレイにして二次発酵防止

粗飼料の取り出し面をキレイにして二次発酵防止

キレイな水槽

キレイな水槽

固形塩の給与

固形塩の給与

乳牛の暑熱対策は「給餌」と「牛舎環境(送風・遮熱など)」の両方が重要です。暑くなる前から準備や対策をしてください。

この情報は2025年6月に釧路中西部地域(釧路市音別、白糠町、鶴居村)の農業者向けに発出した技術情報です

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