釧路農業改良普及センターはR6年度、管内の暑熱対策の取り組み事例を資料にまとめました。今回はその内容を紹介します。
図1 対策をまとめた資料
暑熱ストレスをTHIで評価する
THI(温湿度指数)は、温度、湿度、風速、ふく射により算出され、暑熱ストレスを評価する際に使用します(図2)。
図2 THI(温湿度指数)(風速を0m/秒とした時)
まずは換気
乳牛は、高い生産性を支えるために、ヒトの500倍もの酸素を必要とするため、酸素の多い新鮮な空気が常に求められます。換気は、水分を含む汚れた牛舎内の空気を、乾燥した新鮮な外気と入れ換えることで、暑熱対策として行う送風(牛に向けて風を送ること)とは目的が異なります。
自然換気を行う牛舎では、扉や窓を可能な限り開放し、開口部を広く取ることで外気を積極的に取り込みましょう。
風を使った対策
送風の目的は、牛に風を直接当てて体感温度を下げることです。2~3m/秒の風を当てることで、体感温度を8~10℃下げることができます。
送風機は、取付高や角度で風の届く範囲や牛体に当たる風の強さが変わります。取付高は、安全面や作業性に支障が出ない範囲で、できるだけ低い位置に設置しましょう。角度は、柱に対して45~60度、取付間隔は、5~7m(3間に1台程度)にしましょう。角度を測定できるスマートフォンのアプリも活用できます。
図3 送風機の設置角度による違い
写真1 アプリを使った送風機の角度確認
熱への対策
太陽からの熱によって、建物が熱せられることや、熱せられた建物から牛へ熱が伝わることを防ぐことで、暑さを軽減します。
遮光ネットや遮熱シートなどがありますが、光の透過性、通気性、費用面などから、目的にあった資材を検討しましょう。
写真2 D型ハウス内壁に遮熱シートを施工した事例
水を使った対策
ミストは、牛舎内に放った霧状の水滴を気化させて空気を冷やし、送風により冷えた空気を拡散させます。牛舎内の湿度が高いと気化しないため、効果が得られにくいです。ソーカーは、牛体を水で濡らして風を当てることで、気化熱を利用して牛を冷やします。濡らした牛体を乾かすことが重要です。
どちらの方法も、水の使用によって牛舎内の湿度が上がるため、換気がより重要になります。
写真3 ミストを導入した事例
資料についての詳細は、普及センターまでお問合せください。
この情報は2025年7月に地域(弟子屈町・標茶町・釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。