草地更新の目的は、植生の改善によってほ場の生産性を回復させることです。管内の草地の雑草は、シバムギやリードカナリーグラス等の地下茎型イネ科雑草が多くを占めています(図1)。地下茎型イネ科雑草だけに有効な除草剤はないため、更新時の雑草対策が重要です。
図1 管内A地域の草地の草種構成(44筆平均・普及センターR4調査)
更新作業のスケジュール例を図2に示します。除草剤の散布方法とそれぞれのポイントを確認しましょう。
図2 更新作業のスケジュール(例)
前植生処理
グリホサート系除草剤を用いて、今ある草を枯殺処理します。
前年の秋、もしくは当年の春に散布します。1番草の収穫を行う場合は、8月末まで(牧草のは種晩限)には種が行えるよう、1番草の収穫を早めに行います。
散布後は、除草剤を地下茎まで十分に行き渡らせる期間が必要であるため、次の工程まで期間を空けます。
ポイント
- イネ科雑草の草丈が40~50cm※の時に除草剤を散布する。
- 散布から次の工程までは10~14日間あける。
※根元から、伸ばした葉の一番高いところまでの長さ
は種前処理
は種床を造成した後、土中の種子から発芽した広葉雑草や地下茎から再生したイネ科雑草を、グリホサート系除草剤を用いて枯殺処理します。
ポイント
- は種床造成後、雑草が生え揃うまで40~60日間待つ。
- 散布当日~10日以内には種を行う。
更新後の雑草対策
(1)掃除刈り
更新後に発生する、一年生広葉雑草に有効です。刈り高が雑草の生長点より高いと雑草再生の可能性が高くなり、低いと牧草を傷める可能性があります。刈り取った雑草が多い場合は、ロールベーラ等で拾い、ほ場から持ち出しましょう。
ポイント
- 雑草の草丈が20~30cmになった頃に行う。
- 刈り高は約10cm。
(2)除草剤散布
ギシギシ等、雑草の種類によっては、除草剤による防除が可能です。ほ場の状態によって、使用する除草剤や散布量が異なりますので、詳細は普及センターまでお問合せください。
この情報は2025年8月に地域(弟子屈町・標茶町・釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。