周産期疾病の低減を目指した乾乳期管理について~釧路管内優良事例調査で見えたこと~

はじめに

 乾乳期は次の分娩・泌乳に備える重要な期間であり、乾乳期の飼養管理が周産期疾病の発生や乳量に大きく影響します。今回は、管内の調査事例を踏まえて、乾乳期管理の重要なポイントを再確認します。

優良事例調査の結果

 普及センターでは、周産期疾病の発生が少ない釧路管内の酪農家9戸(2群管理5戸、1群管理4戸)を対象に、乾乳期管理に関する事例調査を実施しました。結果は酪農試験場が2019年に発行した『乳牛の周産期管理マニュアル』で示している推奨値と比較しました(表1)。
その結果、適正なボディコンディションスコア(BCS)と1頭あたり休息面積の確保が優良農家の共通点として見られました。

表1_調査結果と推奨値の比較

調査結果と推奨値の比較

※推奨値を外れた農場でも、BCS3.0~3.25の範囲に収まっており、オーバーコンディションの牛群は見られませんでした。

周産期疾病の低減にむけて

 まずは現在の乾乳牛の状態を確認してみましょう。
もし、太りすぎた牛(写真1)がいた場合は、乾乳中に無理に痩せさせず、現在の体型を維持する管理を行いましょう。
また、泌乳後期のエサを見直し、太った状態で乾乳期に入らないようにすることも重要です。
休息面積を確保するために、一部の牛の乾乳期間を短縮するなど、牛群の頭数を調整し過密を避ける工夫も必要です。一定の条件(表2)を満たした牛では、次産次の低下乳量分を補填することが可能で、かつ、牛が太りすぎません。

表2_乾乳期間を短縮できる牛の条件

乾乳期間を短縮できる牛の条件

過肥牛

写真1_過肥牛(BCS3.75)

適切な休息面積の確保例

写真2_適切な休息面積の確保例

まとめ

 農場によって飼養環境は異なりますが、牛の状態や休息面積を定期的に見直すことが、周産期疾病の低減につながります。
できることから取り組み、牛の健康と生産性を維持していきましょう。

この情報は2025年8月に地域(鶴居村、白糠町、釧路市音別町)の農業者向けに発出した技術情報です。

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