今年も非常に暑い夏となりました。9月に入ると平均気温が20℃を下回る日が続き、人は「涼しくなった」と感じます。しかし、乳牛は気温17℃・湿度40%から軽度のストレス、気温21℃、湿度60%では強いストレスを感じます(表1)。また、真夏の疲れが出る時期でもあります。暑熱対策の継続と、暑熱ストレスによる影響を最小限にする管理を行いましょう。
表1.THIと暑熱ストレスの強さ
※気温と湿度から算出,風速0m/秒
1.送風の継続
搾乳牛には1~2m/秒の風を継続して牛体に当て、ストレスの軽減に努めましょう。送風機・換気扇の風量をインバータ制御している場合には設定温度を確認し、風速が弱い場合は、設定温度を下げます。ON/OFFのみの場合には、継続してONを選択します。大型送風機が付けられない牛舎や子牛では、ダクトファンも再度見直されてきています。
写真1.ダクトファンによる牛体への送風
2.西日に注意
秋になると太陽の位置が低くなり、西日が牛舎内に入りやすくなります。日光により牛体や飼料が熱せられることを防ぎましょう。
窓など開口部への遮光ネット・カーテン・すだれ等の設置で日光を遮ることが出来ます。窓を開けて換気する場合は、通気性の良いネットタイプを選択しましょう。
3.吸血昆虫に注意
夏の終わりは、伝染病を媒介し、ストレスの原因ともなるサシバエやアブ等の給血昆虫が多くなる時期でもあります。成虫がすでに増えているため、牛体へ使用可能な殺虫剤の煙霧機における散布や牛体への塗布のほか、吸血昆虫侵入防止・駆除に効果のあるネットの設置が有効です。
写真2.既存の動物侵入防止ネットの上に昆虫駆除のネットを設置した様子
4.確認によりロスを最小限に
・授精した牛の発情回帰
7~8月に授精した牛は受胎していますか?妊娠鑑定により未受胎牛を早期に発見しましょう。
・蹄の痛い牛
暑熱時は起立時間が長くなり蹄に負担がかかります。収穫などで忙しく、問題を起こし始めている蹄を見逃していませんか?何事も早期発見・早期治療が望まれます。
写真3.脚のサーモグラフィにより蹄の状況を確認した事例
①左の牛の左側;痛い蹄・熱を持っている⇒早期に治療
②左の牛の右側;痛い蹄をかばい負担がかかる⇒見逃しがち
③右の牛;痛がる様子はなく蹄の熱は認められない
この情報は、2025年9月に釧路北部地域(釧路町・標茶町・弟子屈町)の農業者向けに発出した技術情報です