放牧地へのペレニアルライグラスの追播やってみませんか?
<ペレニアルライグラスとは>
ペレニアルライグラスは、初期生育・再生力が強く、嗜好性、消化性にも優れます。特に嗜好性と秋の生育が良いため、放牧草の採食量を確保するためには有効な牧草です(表1)。その一方で、耐寒性が弱く、冬枯れのリスクもある牧草になります(表2)
ペレニアルライグラスの原産地であるデンマークは、北海道と同じく冷涼な気候ですが、冬季でも氷点下にならず、ペレニアルライグラスが無理なく越冬できる地域です(グラフ1)。北海道でも道央、道北、道南などの土壌凍結がない地域では広く利用されてきました。
近年では、越冬性、雪腐大粒菌核耐性の高い新品種の開発により、道東でも利用されるようになってきています。
<追播の方法>
放牧地でのペレニアルライグラスの追播では、草地のルートマットに溝を切りながら播種する作溝法がおすすめです(写真2)。
他のイネ科牧草の播種と同様に越冬前に草丈10cm以上、分げつ茎3~4本まで成長している必要があります。そのため、早春~8月下旬までの間に播種するようにしましょう。
また、初期生育を旺盛にするため、追播地のリン酸施肥も検討してみましょう。
<ペレニアルライグラスを活かす放牧管理を>
ペレニアルライグラスを有効利用するためには、適切な放牧地管理が欠かせません。
再生力が強く、多回刈りに強いペレニアルライグラスを放牧地で維持するためには、短草利用を行う必要があります。短草利用には、一番草収穫後に掃除刈りを行ったり、牧区分けにより放牧強度を高めましょう。また、採草地同様に炭カルなどの施用し土壌pHを牧草に適切な値を維持することも重要です。
来年は、ぜひ放牧地へのペレニアルライグラス追播をご検討ください。
安全な作業は日々の点検から。
この情報は、2022年9月に厚岸町・浜中町の農業者向けに発出したものです