草地の冬枯れ対策してみませんか?
今年は寒さが厳しい冬でした(表1)。こんな年は、ペレニアルライグラス草地や新播草地の状況が気になりませんか?冬枯れが発生すると裸地が拡大し雑草の侵入や収量の低下の要因になります。草地の冬枯れ対策に取り組んでみませんか?
冬枯れが起こりやすい草地の特徴
・チモシーと比べ越冬性の低いペレニアルライグラスやオーチャードグラスの草地
・窪地や低地、排水不良により水がたまりやすい草地
・新播草地(特に、作業が遅れ9月以降には種した草地)
冬枯れの要因
・凍害 牧草が低温に直接さらされ細胞が凍結することが要因
・アイスシート:冠水地(水たまり)が凍結し牧草が氷に覆われ嫌気状態が長期間に及ぶことが要因(写真1)
・凍上害:土壌凍結や霜柱により根切れや根の浮き上がりが要因
・雪腐病:菌核病菌の菌糸が、牧草の気孔や凍害による損傷部などから進入し発症する雪腐病が要因(写真2)
春にできる対策
・新播草地では、3割以上枯死しているまたは生存している牧草が10㎠に5株以下の場合は、追播を検討しましょう。追播は、草地で作業できるようになったら出来るだけ早いタイミングがおすすめです。土壌の表層が柔らかい場合は、ブロードキャスターなどでは種してケンブリッジローラで鎮圧しましょう。土壌が締まっていて硬い場合は、追播機を用いた作溝法で播種しましょう。
・経年草地で牧草が霜柱などにより浮き上がっている場合は、ケンブリッジローラをかけて浮き上がった根を土に付着させましょう。
秋までにできる対策
秋は、牧草が越冬に備えて養分を蓄積する時期(刈取危険帯(表2))です。オーチャードグラスやペレニアルライグラスは、この時期に刈り取りを行うと再生のため蓄積した養分を越冬前に使ってしまいます。越冬や翌年の一番草の収量低下の要因にならないように、この時期は刈り取らないようにしましょう。また、サブソイラなどによる排水性の改善やオーチャードグラス草地での秋施肥、等も冬枯れ対策に有効です。
寒暖差が大きい季節です。朝晩はいつもより気をつけて作業しましょう。
この情報は、2023年3月に厚岸郡(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出したものです。