令和6年度1番草の収量と生草栄養価の傾向

○生育および収穫の状況

 普及センター本所管内の作況値から、融雪期は平年より7日早い3月20日で、牧草の萌芽期は平年より3日早い4月12日でした。
 萌芽期以降は好天に恵まれ生育が進みましたが、5月下旬から6月上旬の低温により生育は鈍化し、出穂期は平年並の6月15日となりました。
 収穫始は6月17日で平年並でしたが、収穫作業が順調に行われたため、収穫終は平年対比で3日早い7月10日となりました。

○収量について

 1番草の収量調査を6月19日から6月20日に行いました。標茶町と弟子屈町のチモシー主体草地6ほ場の調査から、地域収量を評価しました。今年の乾物収量は、平年を約10%上回りました(表1)。

表1 1番草収量調査結果
項目本年平均平年値平年対比
生収量(kg/10a)2,1292,074102.7%
乾物収量(kg/10a)
456411110.9%
乾物率(%)21.419.5109.7%

○栄養価について

 収量調査ほ場の生草分析を6月中旬に行っています。栄養価を同時期の過去3ヶ年平均と比較します。(表2)。

表2 1番草生草分析結果
項目本年平均過去平均
TDN62.761.2
CP12.2
9.5
NDF62.664.8
リグニン3.13.3
カルシウム0.340.27
リン0.290.29
カリ2.112.35

平均乾物中濃度 %

過去平均はR3~R5の平均値

 この結果から今年の1番草の傾向をまとめます。

⑴過去との比較

 今年の特徴的な傾向は、過去の同時期に対し、蛋白質として利用されるCPが高く、総繊維であるNDFが低いことです。

⑵予測される粗飼料品質

 本年産の粗飼料品質の傾向について述べます。

・CP含量が高い

 牧草からのCP供給が多くなることが予想されます。給与飼料全体で、エネルギーとのバランスを検討しましょう。CPは乳量に貢献する一方で、エネルギーを伴わずに摂取量が増えると牛の健康を損なうことにつながります。
 乳成分の動向に注意し、MUNの上昇などがみられたら、エネルギー飼料の種類や給与量を見直しましょう。

・NDF含量が低い

 NDFが低い牧草は、ルーメン内容積の占有が少ない粗飼料で、採食量を多く確保できます。そのため牧草からの栄養供給割合が高まり、配合飼料を含めた濃厚飼料の削減が期待できます。
 消化管を通過するスピードが速くこれまでの粗飼料より「食い込めるエサ」である可能性があります。牛の採食行動を確認し、粗飼料の増給を検討しましょう。

 給与の際は、粗飼料分析を行いましょう。粗飼料の品質は、ほ場や収穫時期によって異なり、収穫が遅くなるとCP含量は低下し、NDF含量は高くなります。粗飼料分析は1度だけではなく、サイロの切り替えや草地が変わるときなどは再度、行うことが望ましいです。その分析値に応じて濃厚飼料の種類や給与量を変更しましょう。

 詳しくは普及センターへご相談ください。

この情報は2024年10月に地域(標茶町 弟子屈町 釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。

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