1. 貯蔵粗飼料の品質低下
この時期、利用する貯蔵粗飼料は前年収穫して越冬したもので、品質の低下が考えられます。そして、気温が上昇していく環境下で懸念されるのは、サイレージの二次発酵です。
2.二次発酵のメカニズム
二次発酵とは、サイロ開封後、酸素に触れてサイレージが好気性発酵を起こし、急速に変敗することです。
3.現在使用中のサイロの確認
二次発酵は発熱で判断します。
グラス、コーンともに現在の給与に使用している水平サイロは、断面の全体を手で触れ、発熱を感じる箇所は廃棄します。
上部の肩、下部など変敗の可能性が高い部分は、こまめにモニターし、発熱していないことを確認して使用しましょう。
4.二次発酵を回避する管理
①サイロ断面をシートで覆う
断面ができるだけ酸素に触れないようするため、取出したらシートでサイロ断面を覆いましょう。
②断面をきれいに取出す
断面からの酸素侵入を最小限にするため、取出しにはサイレージカッターの使用が望ましいです。
バケットで取り出す際は、バケットの背面で上からサイレージを削り落として取り出しましょう。
③プロピオン酸の散布
サイロ断面にプロピオン酸を散布することで、酵母・カビの増殖を抑制し、二次発酵を回避できます。強い酸なので、希釈倍率などの使用法を厳守しましょう。
5.二次発酵への対策
サイロ断面が広い範囲で発熱した場合は、熱が落ち着くところまで断面を削り、取り出したサイレージはサイロ外へ廃棄しましょう。再度、そのサイロを利用するなら、1日の取り出し長さを見直しましょう。暖候期へ向かうので、推奨は1日20㎝以上です。
今後は、気温が高くなるので、現在の使用サイレージを積極的に消費することが奨められます。在庫に余裕があるなら、育成牛や乾乳牛にも給与することなどを検討しましょう。
この情報は2025年6月に地域(弟子屈町・標茶町・釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。